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肘折温泉郷の話題

肘折温泉を舞台に文学


雪の肘折『月山』 森 敦(もり あつし )

芥川賞受賞作。1ページ目に肘折温泉へ来る道すがら見た月山の描写がある。

「ながく庄内平野を転々としながらも、わたしはその裏ともいうべき肘折の渓谷にわけ入るまで、月山がなぜ月の山と呼ばれるかを知りませんでした。そのときは、折からの豪雪で、危く行き倒れになるところを助けられ、からくも目ざす渓谷に辿りついたのですが、彼方に白く輝くまどかな山があり、この世ならぬ月の出を目のあたりにしたようで、かえってこれがあの月山だとは気さえつかずにいたのです。しかも、この渓谷がすでに月山であるのに、月山がなお彼方に月のように見えるのを不思議に思ったばかりでありません。これからも月山は、渓谷の彼方につねにまどかな姿を見せ、いつとはなくまどかに拡がる雪のスロープに導くと言うのをほとんど夢心地で聞いたのです」(森敦「月山」より)

 

温泉『花輪大八 湯守り日記』 高橋 義夫

 山形県在住の直木賞作家 高橋義夫先生による時代小説。肘折温泉にやってきた湯守 花輪大八を主人公にした連作時代小説『湯けむり浄土』『若草姫』の二巻が出ている。
  「新庄領外れの山深い湯治場、肘折温泉。二十歳の藩士で具足術の名手・花輪大八は私闘を咎められ、勘当同然にそこの湯守り役を与えられた。湯守りとは温泉を管理する村役で、収入は湯銭と酒代。勤番の老人・勘兵衛、張番の次郎吉、世話役の六兵衛や奉行所の手先・伝兵衛ら一筋縄ではいかない連中との毎日が始まった。そして、いわくありげな湯治客たちが今日も肘折を訪れる‥‥。」(「湯けむり浄土」帯より)

 

『邂逅の森』 熊谷 達也

直木賞受賞作。物語中の重要な舞台として、始めと終わりに肘折温泉が登場。

その冒頭を紹介。

「獣を殺す旅だった。

大正三年の冬、松橋富治は、年明け間もない山形県の月山麓、肘折温泉から深く入り込んだ山中で獲物を追っていた」-中略-「だが、ここ肘折温泉のマタギ小屋に到着してからすぐ、猟場としている山々が猛烈に吹雪きはじめて、猟に出られない日が三日も続いた」 (熊谷達也「邂逅の森」より)

 

そのほか、『陸奥こけし殺人事件』山村正夫『ローカルバスの終点へ』宮脇俊三など、肘折温泉が登場する作品がある。

 (参考:『肘折読本』p23より)